⑥譲渡対価の決め方とは?~譲渡側の想定してなかった大変だったことや譲渡後の顧問先への対応~
- 小杉 啓太

- 8月1日
- 読了時間: 8分

~経営統合を実現した2人のリーダーが語る~
「実体験!ここだから話せる経営統合の裏話」
≪講師≫
●小西 慎太郎(こにし しんたろう)
DIG税理士法人/DIGグループ
(旧・税理士法人アーリークロス/合同会社アーリークロスグループ)
代表社員 公認会計士・税理士・宅地建物取引士
●仲田 芽衣(なかた めい)
なかた会計事務所 代表・税理士
株式会社Beso Co-founder / COO
≪ファシリテーター≫
●久保 憂希也(くぼ ゆきや)
元国税調査官
株式会社KACHIEL 代表取締役 CEO
2024年11月1日に発表されたDIG税理士法人(旧・税理士法人アーリークロス)と税理士法人Besoの経営統合について、実際に経営統合を実現した2人のリーダーが抱えていた不安や課題をどう乗り越えたのか、そしてどんな教訓を得たのかが語られる特別対談が2025年5月に実施されました。本記事では、その対談から「譲渡側の想定してなかった大変だったことや譲渡対価の決め方、譲渡後の顧問先への対応」について抜粋してまとめました。
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久保:
じゃあ逆に、仲田さんが売り手として
「想定してなかった大変だったこと」って何かありました?
仲田先生:
うーん、ちょっと忘れている部分もありますけど、
まずは顧問先へのご連絡ですね。
「どう伝えるか、いつ伝えるか」というのはすごく悩みました。
私が抜ける側だったので、より丁寧に伝えなきゃと思った反面、時間が限られていて、
「ちゃんと伝えたいけど、そんな時間ある?」みたいな葛藤がありましたね。
税理士法人がなくなるっていうことで金融機関とのやり取りが結構大変で。
はがきで案内を送ったんですけど、それでトラブルがあったりして。
そういう告知まわりが、社員だけじゃなくてお客様や関係者への連絡も含めて、
結構大変でしたね。
久保:
なるほど。
じゃあ、税理士法人同士の手続きで大変だったことは特にないの?
たとえば契約書のやり取りが大変だったとか。
仲田先生:
いや、手続き関係は本当にスムーズで特に問題はなかったです。
でもやっぱり、マネジメントしてないと言いながらも、
引き継いでもらうメンバーのケアみたいなのは自分でやっていたので、
その点はやっぱり大変でした。
うちのメンバーって結構クセ強い人が多いので(笑)
それぞれのメンバーに合ったコミュニケーションを取るっていうのは大変でしたね。
あと、経営統合して終わりじゃなくて、PMI(統合プロセス)の期間中も
こまめに連絡を取り続けたり、ケアしたりしました。
久保:
じゃあ、11月1日に経営統合したからって、
その後はもう連絡してないってわけじゃないと。
仲田先生:
そうですね、DIG税理士法人のチームと一緒に勉強会をしたり、
うちのメンバーが馴染みやすくなるようなことも一緒にやっていたんです。
小西さんと同じように、やっぱり“メンバーをどう引き継ぐか”には
一番エネルギーを使いましたね。
久保:
ぶっちゃけ、譲渡対価でもめたりはしなかったの?
譲渡対価って、どっちから提示したんですか?
それはきっと仲田さんでしょうね(笑)
小西先生:
え、どうでしたかね(笑)
たしか私の方から「このくらいかな」って話した記憶があります。
仲田先生:
私自身が相場とか全然知らなくて。
スタートアップの基準で、「このくらいでどうですか?」みたいな金額を言ったら、
そしたら、玉置(奈良の社員税理士)にも
「え、めっちゃでかく出てるやん!」って言われて(笑)
久保:
あー(笑)
とんちんかんな金額を提示していたわけね。
仲田先生:
はい、とんちんかんな話をしていました(笑)
でもいろいろ調べて、「あ、これはヤバいな」と思って、
すり合わせをさせていただきました。
久保:
じゃあ、頭の中が数倍ずれていたってことでしょ?
それが数分の1になっても売ろうと思ったってこと?
仲田先生:
そうですね、恥ずかしくなって、
すぐチャットで「すいません、間違えました!」って送りました。
久保:
なんかもう、PBR(株価純資産倍率)20倍みたいな…
「グロース上場企業かよ!」
ってツッコミ入るようなレベルの計算をしてたみたいなことか。
仲田先生:
はい、ぶっちゃけ話でいくと、そんなこともありました(笑)
久保:
そんなのありました、レベルの話じゃなくない!?(笑)
小西先生:
玉置(奈良の社員税理士)も税理士なので、
彼と僕とで「このくらいが妥当だよね」
というすり合わせが自然にできたのはありがたかったです。
久保:
売ると言い出した仲田さんが一番とんちんかんだったんだね(笑)
仲田先生:
はい、当時は…。
久保:
当時は、って(笑)
でも、そんな感覚のまま、よく売却に踏み切ったね。
仲田先生:
まぁ、そうですね。
当時はもう色々な条件があったなかで「売りたい」という思いが強かったので。
久保:
金額は譲れたの?
仲田先生:
ええ、ご提示いただいた金額で、「はい」という形でした。
久保:
なるほどなるほど。
でもまあ、買い手側としては、もう正直言うと、
なんていうか、ある程度レンジは決まっているというかね。
小西先生:
そうですね、さすがに無限には出せないので。
久保:
うん、利益率がめちゃくちゃ高いとか、特殊性があればまた別なんでしょうけど。
あ、ちょうど時間もそろそろなんですけど、
質問がもう1個来ていて、俺も「ああ、たしかに」って思ったんだけど、
「DIG税理士法人が引き継いだ顧問先の顧問料の改定って、どのタイミングで行ったんですか?また、今後変更予定はありますか?」
っていう核心的な質問が来ています。
小西先生:
はい、ここも、やっぱり大変な部分の一つだったなと思っています。
正直ベースで言うと、もともとDIG税理士法人の
料金体系の方がちょっと高い傾向があって。
ただ、急に「値上げします」っていうのは顧問先にとってもキツいのだろうということで、
一旦は、元々いらっしゃった顧問先については料金を変えていない、
ほとんどそのまま、という対応をしています。
久保:
ああ、なるほど。
じゃあ、今後も変える予定はない?
小西先生:
採算があわなかったり合わなかったり、
サービス内容が全く合っていない場合は見直しも考えますが、
そうでない限りは、無理にいじるつもりはないです。
ただ、新規で入ってくるお客様は、最初から新しい料金表でやらせてもらっています。
久保:
うんうん。
じゃあ新規のお客様についてはDIG税理士法人の料金表ベースなんだ。
小西先生:
はい、そうですね。
久保:
うん。
まあ、一般論で言えば売り手の方が顧問料が低いケースが多いよね。
小西先生:
まあ、そうでしょうね。
久保:
買い手の方が顧問料が高い方が多いだろうね、一般論で言うと。
「だからそうなるよなぁ~」と思って、今の質問や返答を聞いていました。
でも、ビジネスモデルの違いはあるだろうしね。
訪問するかしないかとか、サービス形態でも全然変わるしね。
単純比較はできない部分もあるかもね。
小西先生:
はい、そうですね。
久保:
なるほど。
じゃあ、基本的には既存顧問先は料金は触らない方針と。
小西先生:
はい、そうですね。
久保:
今後も買収があったとしても、既存の顧問先の料金をいじることによって
ハレーションが起こることの方が問題が大きくなりかねないもんね。
小西先生:
ただ、さすがに大きな赤字であったり、
極端に合わないケースはお断りせざる得ないこともありますが、
しっかりと回っているのであれば、現状維持でいいのかと思っています。
久保:
なんか雑談で1時間経っちゃったね(笑)
事前打ち合わせもトピックもなく、この3人でずっとフリートークでしていたからね。
久保:
じゃあ最後にちょっと告知なんですけど、
7月23日に仲田先生にセミナーをやっていただく予定です。
ぜひ、ご案内お願いしてもいいですか?
仲田先生:
ありがとうございます。
今日はかなりふんわりとした、ざっくりした話が多かったですが、
7月23日のセミナーでは、「実際にどんなことをやったのか」具体的にお話します。
あと、M&Aって誰に相談すればいいかわからないって方も多いと思うので、
このセミナーの後には、私も同席したうえでの無料の個別相談会も予定しています。
なので、ふんわり考えている人でも、まだ考えていない人でも、
必ず何かしら得られるセミナーになると思います。
ぜひご参加ください!
久保:
ありがとうございます!
では、最後になりますが、アンケートのご協力をお願いします。
チャットにURLをお送りしますので、ぜひご回答いただけると嬉しいです。
それでは、今回のセミナーはここまでとさせていただきます。
お二人とも、ありがとうございました!
小西先生・仲田先生:
ありがとうございました!
全6回にわたる「実体験!ここだから話せる経営統合の裏話」
対談の抜粋記事は今回で最終回となります。
過去の記事は上部からご確認いただけますので、
まだご覧になっていない回があればぜひチェックしてみてください!


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