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⑤譲受側が引き継いで一番苦労することは?~譲渡側・譲受側それぞれがM&Aで大切にしていることとES(従業員満足)への対応~

  • 執筆者の写真: 小杉 啓太
    小杉 啓太
  • 7月29日
  • 読了時間: 7分

更新日:8月1日

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~経営統合を実現した2人のリーダーが語る~

「実体験!ここだから話せる経営統合の裏話」

≪講師≫

●小西 慎太郎(こにし しんたろう)

 DIG税理士法人/DIGグループ

 (旧・税理士法人アーリークロス/合同会社アーリークロスグループ)

 代表社員 公認会計士・税理士・宅地建物取引士


●仲田 芽衣(なかた めい)

 なかた会計事務所 代表・税理士

 株式会社Beso Co-founder / COO


≪ファシリテーター≫

●久保 憂希也(くぼ ゆきや)

 元国税調査官

 株式会社KACHIEL 代表取締役 CEO



2024年11月1日に発表されたDIG税理士法人(旧・税理士法人アーリークロス)と税理士法人Besoの経営統合について、実際に経営統合を実現した2人のリーダーが抱えていた不安や課題をどう乗り越えたのか、そしてどんな教訓を得たのかが語られる特別対談が2025年5月に実施されました。本記事では、その対談から「知り合い同士でのM&Aの相談可否、譲渡側・譲受側それぞれがM&Aで大切にしていることや譲受側の引き継ぎ対応」について抜粋してまとめました。


<他の記事は下記をクリックで確認できます!>



久保:

うち(KACHIEL)がM&Aの仲介やっていてよく聞くのは、

「同じ支部の先生には言いたくない」とか、

「市内や県内の税理士とか絶対イヤ」って話す人がいて。

売ろうとしていると思われるのがすごく嫌って人が多いんだよね。

そういう情報が回るのがイヤだって。


仲田先生:

でも、情報ってそんなに回らないですよね?相談ぐらいだったら。


久保:

知り合いだからこそ知られたくない、というがあるのかな?

売ってしまえば関係ない話だけど、プロセスの段階では…っていうのはよく聞く。


仲田先生:

なるほどな~


久保:

「M&A仲介会社なんて使わずに、税理士会とか支部の中で顔見知りに相談すればいいじゃん」って話をしたら

「M&Aの話を自分で知り合いに持ち込むのはないでしょ」

って何回も言われたことあるよ。

知り合いだからこそ声掛けられないらしい。


最終的には条件の話になるからこそ、

知っている相手には言いにくいというのはあるかもしれない。

ビジネスライクに交渉ができないとか。


小西先生:

でもそれって時代の変化かもしれないですね。

最近だと、知り合いにLINE一本送ってM&Aが決まるとかあるみたいで。

「社長同士でLINEでやりとりしてM&Aが決まりました」という話も聞きますし、

割とカジュアルなのがあたりまえになってきているのかもしれないですね。


久保:

33歳の仲田さんが出資の話も、会ったことない人にメールで言っちゃうとか?(笑)


仲田先生:

(笑)(笑)(笑)


久保:

いや、それがカジュアルで済むのかはちょっとわかんないけど(笑)


小西先生:

でも、そこは仲田さんのいいところだと思います。

顧問先の社長さんでも融資や資金繰りの相談の際に、

最後まで他人任せな人もいらっしゃるじゃないですか。

やっぱり最後は「自分を信じて出資してください」

と言えるのが経営者としての仕事だと思うので。

媒体がなにかは置いておいて、

「自分を信じて出資してください」と言える仲田さんはすごいなと純粋に思います。


仲田先生:

ありがとうございます(笑)


久保:

いい側面から言ったらそうだね(笑)


仲田先生:

冷静に考えると「失礼かな?」って思う瞬間もありましたけど、

行動せざるを得なかったというか。

関係性にもよりますし、難しいところではありますが、

当時は本当に必死だったので、手段を選んでいられなかったですね。


久保:

たしかに関係性によるかな。


久保:

では、さっきの話に戻るけど、

M&Aにおいて、売り手と買い手がそれぞれの目線で

最も重要視していることを聞いていこうと思うんだけど、

まずは買い手側の小西くんは「買い手側が最も重要視していること」って何ですか?


小西先生:

うちの場合は、職員の方が残ってくれるかどうかが一番大事ですね。

仕事を取るとか探すとかは、僕らが頑張ればなんとかなると思っています。

でも、人の採用や組織づくりって、一朝一夕にはいかないし、地域性もあります。


だから、人がいてくれるだけで、あとはなんとかなるという考え方です。

そして、職員さんが「うちに入ってよかった」って思ってくれることが、

うちにとっては一番重要なポイントだと思っています。


久保:

うん。

けど実際には、リードタイムの長い、短いはさておき、

M&Aでは売り手の職員さんに事前に言えないっていう難しさもあるよね。

そこが本当にリアルに難しい。


小西先生:

そうですね。

難しいなとは思いますけど、やっぱり文化とか

所長先生のやり方にかなり依存するなっていう気はしていて。

ある意味、チーム感がまったくない事務所だと、

所長が変わってやり方が変わるなら「もう辞めます」っていう雰囲気のところもあるし、

逆にちゃんと組織として運営されているようなところは、

「所長が抜けても今のチームで続けたい」とか

「新しいことを一緒にやってみたい」っていう雰囲気があるところもあるので

そこはもうそういったところで判断するしかないかなって思います。


久保:

うん、たしかに。

でも税理士法人Besoとしては、さっき言っていたように重要事項があって、

「私が抜けることが前提です」っていう条件とか。

あ、でももう一個あるか。

「抜けても税理士はします」とかっていう条件もあるか。


仲田先生:

はい、あります。

私としてはかなり条件が多かったんですよ。

そこを理解していただくこと、

あとはメンバーとのカルチャーギャップがないかどうか、

我々がジョインすることでシナジーがあるかどうか、

そういう点をすごく考えました。


久保:

うん、たしかにそうだね。

なんか今聞いていると、売り手の方が条件が多いように感じてきたな。


小西先生:

そうかもしれないですね。


久保:

「なぜ売るのか」って理由もあるし、

僕らの仕事(M&Aの仲介)の中でも、

病気になった税理士さんが「半年以内に」という条件つきで相談されることもあるし。

それって当たり前の話だけど、

やっぱり売り手側には条件がたくさんあるなと実感するし、

金銭面の話もあれば、時間的な話もあるし。

そういう意味では、買い手のほうが柔軟かもしれないし、

絶対的なポリシーがなければ融通は利くのかもね。


久保:

あ、受講者の方から質問が来ていますね。

「小西さんが事務所を引き継いで一番苦労したことは何ですか?」


小西先生:

あー、苦労というか、時間とコストをかけている部分、

とくに時間をかけているのはやっぱりチームビルディングですね。

どうしても大阪と奈良で物理的な距離がありますし、

オンライン中心っていうところもあるので、

人間関係の距離感をどう埋めていくかというところにはかなり力を入れました。


大阪や奈良にうちのメンバーが頻繁に出張したり、

全社ミーティングの際に福岡まで来てもらったり、

そういった顔合わせる機会を意識的に作っています。


久保:

あー、なるほどね。

福岡から大阪って、東京から大阪と同じくらいの距離だし、コストもかかるもんね。

「忘年会来てください」とか言っても、全員来てもらうのって大変だよね。


小西先生:

そうですね。

もちろん事情があって来られないメンバーもいますけど、

費用は会社で出すようにしているので、

早めにスケジュールを伝えて参加してもらうようにしています。


久保:

うんうん、なるほど。

たしかにマネジメントというか、ES(従業員満足)への対応って一番大変そうだよね。


小西先生:

逆に顧問先の方は業務がもう自走して、

すでに回っていたのでトラブル等はほとんどなかったですね。


久保:

仲田さんとしてはよかったね。

もしここで小西くんが「もう頭痛くなったから次からM&Aやりません」

とか言わなくて(笑)


仲田先生:

それだったら今日のセミナーは開催されていないですよ(笑)



次回は「譲渡側の想定してなかった大変だったことや譲渡対価の決め方、譲渡後の顧問先への対応」について抜粋して記事にまとめます。(2025年8月1日に記事公開予定)


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単なる「売却」に限らず、譲渡側の所長の現役続行を前提とした「支店成り」「税理士法人化」「税理士法人合併」などのご支援を全国で多く行っています。

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